平成二十五年盛夏。うだるような暑さが続く盆の頃。ケンイチは女房と一緒に妻の実家へと里帰りをした。玄関に着くと何とも艶やかな和装姿がお美しい、女房の母親・友里恵さんに迎えられた。暑い中ご苦労様でした。冷たいお茶を用意しますのでどうそケンイチさん。ひとつひとつの身のこなしがとても気品に満ちていた。アップに束ねられた和装義母の汗ばんだうなじにケンイチは思わずつばを飲んだ。二泊三日の旅程で女房の実家で過ごす事になっていた。ケンイチの鼓動が高鳴り始めていた。 |
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